曖昧だった立ち位置が明確になったトヨタ・マジェスタの今後は?

もしかしたら、「マジェスタって意味があるの?」と思われた方も少なくないかもしれません。 今年の9月9日に発売開始を迎えた新型マジェスタを見て、「これはクラウンにちょっと手を加えただけではないか」という感想を持ったのではないでしょうか。

たしかにクラウンの場合もそうでしたが、独特の存在感を演出するグリルが特徴的で高評価の対象となりますが、それでもやはり「クラウンがあれだけ変革を遂げたいま、マジェスタの存在意義があるのだろうか」、「あえてマジェスタを販売したトヨタの戦略がよくわからない」という意見もありました。

気になるのは市場の反応ですが、トヨタ自動車の発表によると新型マジェスタの販売開始から1カ月の売り上げ台数は好調で、約2,800台となった模様です。ちなみに、トヨタ自動車自身の月間販売目標台数が500台ですから、かなり好調な滑り出しということができます。

市場は新型マジェスタを温かい目で見ているということでしょうか。 今回の売り上げアップにつながった要因はまだ発表させていませんが、ハイブリッドシステムの搭載というのは理由として挙げるには単純すぎるでしょう。 大胆にその理由を予想してみるならば、きっとクラウンの王冠エンブレムの復活にあるのではないかと思います。 そしてその背後には、マジェスタの立ち位置が定まったということが市場に、というよりも以前のマジェスタオーナーに評価されたのではないかと思うのです。

新規顧客もあるでしょうけれど、今回の新型マジェスタを購入した人の中には、以前にマジェスタを購入したことがあって、他の車種に乗り換えたものの再び元のサヤに収まったという人たちが多いのではないかと踏んでいます。

実際、3代目マジェスタまでは王冠エンブレムを冠していたのに、その後の4代目、5代目では瞑想していった感じのあるこのクルマ、自らの立ち位置を見失っていたのでした。 この点はトヨタ関係者も認めています。 「位置付けがすごく曖昧になってしまった」というコメントを残しています。 それがここにきて再び王冠復活で「立ち位置が明確になった」わけです。 火が付けば初代のようなブームを巻き起こすことも夢ではありません。

レクサスを購入する人の志向を分析する

いまではあまり見なくなりましたが、トヨタの車の「トヨタエンブレム」を外して、わざわざ「レクサス」のエンブレムを付けて走行している車を目にする機会が多くありました。

しかも、新車で購入すれば高級車として分類されるような車に対してそのようなエンブレム交換が行われているのを目にしたときに、レクサスを購入する人の心理、レクサスがブランドとして確立されて支持されている理由を垣間見ることができたような気がします。

つまり、車はトヨタだが志はレクサスという人がエンブレム交換をするわけです。

もちろんトヨタブランドとして発売されているモデルと、レクサスブランドで発売されているモデルでは、表面的に似通っているところがあっても、内装や走行性能、足回りなど多くの部分が異なってきますので比較の対象にはならないと思います。

それでも、本当に単純に考えてしまうと、レクサスにするだけでかなり値段が上がるように感じて、「ブランド料としてそれだけ支払う価値があるのだろうか」と考えてしまうのです。

ところが、トヨタとレクサスの間の価格差に、価格以上の価値を見いだすためにレクサスが売れているのです。
国内市場でもレクサスの割合が着実に増えています。

高価格帯ながら、販売されるモデルのほとんどが販売予想台数を上回る結果になっています。

これは、バブルの時期に高級車が飛ぶように売れた消費減少と同じなのでしょうか。

じつは、詳しくレクサスを購入する人のマインドを調査すれば、バブルの頃の高級車ブームとは大きな違いがあることに気付かされると思います。

以前であれば、お金を持っているというイメージで見られたい、自尊心を維持するためにという理由で高級車が売れたかもしれませんが、レクサスを購入する場合には純粋に品質に対して価値を見いだすので、たとえ同じようなモデルがトヨタから出ていて割安感があっても見向きもしないということになるのです。

つまり、レクサスに手を伸ばす人ほど実は堅実な人で、良いものを購入できるのであれば対価は支払うという人たちなのです。

トヨタのエンブレムをレクサスに交換する人たちの心理状況からして、一瞬ではあるもののレクサスを購入する人もやはりブランド志向、見栄っ張りのであるかのような錯覚を受けてしまいましたが、じつはその反対でした。

もちろん者を買うのに動機も正当な理由も必要ありませんし、志向はそれぞれ異なります。

しかし、レクサスが品質のいいものを造り続けるかぎり、価格競争に巻き込まれることなく自身の地位を確立し続けることができるに違いありません。

インサイトの雪辱は果たせるのか

これまでもホンダとトヨタのハイブリッドカーを巡る対決は、わたしたちユーザーにとって興味を引くものとなってきました。

少し古い例ですと、「プリウス対インサイト」のときには、ホンダの社長が積極的にメディアへ繰り出して、200万円を切るハイブリッドカーをPRしていました。

さて、その勝負の行方はいかに?ということは、実際に街へ繰り出して走っている車を確認すればよくわかります。

2013年に入って、今回のホンダはインサイトではなくフィットをトヨタに対して突きつけてきました。

9月6日にフルモデルチェンジしたフィットについて、ホンダの伊東社長は「フィットはスーパーカブの4輪版」であると述べました。

つまり何が言いたいのかというと、超低燃費を売りに全世界で6000万台売っているバイクのように、低燃費によって支持されるクルマになるだろうということです。

ホンダが新型フィットを世界戦略車として位置付けているかどうかは定かではありませんが、明らかに好調な販売台数を記録しているトヨタのアクアに対する宣戦布告となっているのは確かです。

フィットも3代目になり、ようやく普通車の燃費性能ナンバーワンだったアクアを抜くことができました。

今回の勝負はどちらに軍配が上がるのでしょうか。

発売時期が重なったわけではありませんので、今後アクアを候補に入れていたユーザーがどの程度フィットに流れていくか注目されています。